コラム〔山本編〕
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vol.5 新幹線超越回帰線直達南辺
作  山本 洋左右
今回は、台湾見聞記である。
九州より少し小さい島に2200万人が豊かに暮らす美しい島だ。
ここに来年の秋、新幹線が走る。
台北〜高雄間約350キロを2時間弱で結ぶ。
在来線の特急 自強号が4時間30分かかるので大幅な短縮となる。
既に、台湾人の運転士も日本で訓練を終え、車両も高雄に送られている。
今、新幹線が日本と台湾の結びつきを再び強固にしようとしている。

台湾人と日本人の交流は、距離や黒潮の流れから、
はるか昔に遡ることは、間違いないだろう。
日本に初めて来た西洋人は、ポルトガル人だった。
彼らは、日本発見の前に台湾にいた。
日本を目指したポルトガル船には、台湾人が水先案内人として
乗船していた事は容易に想像できる。
台湾人は又、日本人とポルトガル人の通訳もしたと思われる。
台湾でキリストをヤス、と発音する。日本では、耶蘇と呼んでいた。

近代に於ける関係は、日清戦争で日本が清国から勝利の代償として台湾を得た。
この時、清国は台湾を化外の地、つまり中華文明の及ばぬ未開の地をくれてやる
と言った態度だった。
それに対して、明治政府は、台湾を南方への貴重な経由地と捉え
農業、鉄道、港湾等のインフラと教育の徹底を図った。
日本語教育は、強制的な面があった事は事実だが私は、日本語を
話せる人々のお陰で言葉の不自由なく台湾を旅することが出来る。
台湾の人の話す日本語は、半端じゃない!
10年ほど前、台北の故宮博物院4階の喫茶室で相席した台湾のお年寄りから
”最近の日本人の言葉は乱れて聞くに堪えませんねえ”と言われ
絶句したことがあった。
日本語で旅が出来る!そんな甘えが許される美麗島、台湾の旅は、次章で!