コラム〔山本編〕
前へ 次へ
vol.6 新幹線超越回帰線直達南辺 続章
作  山本 洋左右
成田空港から3時間、台湾の表玄関の中正機場に着く。
空港は、通年南国特有の甘い香りを含んだ生暖かい微風が、旅人を包み込んでいる。
空港の出口でバスにしょうか、タクシーにしようか一寸でも足を止めると
忽ち”ホテルは、どちらですか?”と綺麗な日本語で次から次と声をかけられる。
急ぐ旅ではないのでバスで台北に向かう。空港を出るとすぐに高速路に乗るが
ここから淡水河手前の降り口まではバス同士、乗用車同士のカーチェイスを体験することになる。
台湾教訓その1 台湾人は皆、速度違反者である。
高速路を降りると、淡水河に架かる忠孝大橋の向こうに台北市内が見えてくる。
空港からのバスは、一部を除いて台北駅前のバスターミナルに到着する。

鉄道を利用するときは、駅正面のヒルトンホテル、その他のときは晶華酒店に宿泊する。
晶華酒店は、台北のメーンストリートの中山北路に面している事と、部屋が広いこと、
それに馴染みの茶行が目と鼻の先にあるので私には、大変便利なホテルである。
地下には、免税店もあり、買い物好きな女性も利用しやすいと思う。
ホテルで荷を解くと、その足で裏の長春路にある昇祥茶行に顔を出す。
通りから店内が一望出来る小さな構えで、美人の店主が日本人の客に茶のサービスと説明をしている。
綺麗な日本語の説明を聞きながら、美味しい烏龍茶を好きなだけ飲む。
烏龍茶は、大陸産とは比較にならぬほど香りと味がよいのだが、そこには日本人の品種改良の技術が
あると言う。
値段は、100グラム600円くらいから3500円くらいと様々だが、高いお茶が自分の口に合うとは限らない。
台湾教訓その2 烏龍茶は、何杯も飲み一番美味いと感じた物を買う。

私は、この店主のママさんと茶を飲みながら2〜3時間話し込む。
最近の台湾事情、茶の出来具合そして最近評判の美味い店など最新の台湾情報を入手するのだ。
買い物の相談にも気軽にのってくれる。18年も通っている私にとって台北で最も落ち着く場所である。
台湾に行ったら是非気軽に話し合える台湾の友人をつくることが大切である。
台湾の人は商売上手だから、うまく乗せられているんだよ と思われるかも知れないが
私は、この店で面白い経験をしている。
いつも買う烏龍茶の値段があるとき3割安くなってその2,3年後には半額になった。
なぜ?と問う私に店の大女将ははっきりと答えた。
”貴方は、10年も来てくれた。だからほかのお客さんよりサービスするのは当たり前です。”
日本人を温かく見つめる台湾人は多い。台湾も又、大陸同様人脈の国である。
食べ物の美味しい国で人脈を築けば何度でも足を運んでしまうそれが美麗島 台湾である。