コラム〔山本編〕
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vol.21 嘘で自滅する政治と国家 
作  山本 洋左右

別に今日が4月1日、エイプリルフールだからと言うわけではない。
私は、これまでこのコラムやインターネットラジオを通じて
政治家や富裕層に対し、"嘘をつくな!"と警告を発してきた。
彼らは、現在の高度情報化社会やインターネットが、
自分達だけが享受してきたインサイダー的な特権を瞬時に
破壊する恐ろしさを認識できないでいる。

この国の現代史には、彼らの嘘で溢れている。
小泉首相の嘘、民主党の嘘に怒る前に歴史を振り返ってみる。

昭和初期、満州に王道楽土を建設する、五族協和の
理想郷がそこにある、といって政府は開拓団員を送り込んだ。
実態は、ロシアと満州を分け合う土地と資源の収奪だった。
満州を支配し、開拓団員の生命と安全を保証すると言った
関東軍は、敗戦直前にはその影すらなく、
日ソ中立条約を破ったソ連軍の砲火の中で8万人近くの
開拓団員が犠牲となった。
真っ先に逃げたのは、軍幹部、満鉄関係者、満州国政府関係者、
財閥関係者だった。

太平洋戦争当時、国内では大本営が嘘の発表を繰り返し続けた。
ミッドウェーで、大敗北を喫してもアッツ、キスカ両島で玉砕しても
大本営は、只管"勝った""敵に大損害を与えた"と事実を
隠し続けた。

政治家の嘘は、戦後になっても止まらない。
吉田茂は、戦車の事を"特車"と言って再軍備を誤魔化した。
池田勇人は、所得倍増計画を掲げながら、
その一方で、"貧乏人は、麦を食え"とも呟いた。
佐藤栄作や福田赳夫、田中角栄らは、
非核三原則を平和国家の象徴として、世界にアピールしながら
核搭載の米艦船の入港を認めた。
竹下登の時は、"借金も財産の内"と言う風潮を流して
バブルを煽った。
宮沢喜一は、リクルートからの違法献金を知りながら、
"ノーコメント"を繰り返したが、略式起訴され辞任竹下内閣を潰した。

嘘が瞬時にばれる時代

つい10年前までは、政治家の嘘がばれるまでには
相当の時間がかかり、事実の究明が困難だった。
疑惑が浮上しても、捜査の前には、時効の壁が立ちふさがり
政治家は、嘘の責任から、逃れる事が出来た。
しかし、高速通信、インターネットの普及で、状況は一変した。
嘘や疑惑に関する情報は、決壊したダムの水流の如く
猛スピードであらゆる通信回線を駆け巡る。
その速さ、量の多さは、本人の言い訳をも濁流の中に
沈めるほどの恐ろしさを秘めている。

永田議員も前原代表も、この恐ろしさには、
余りに無知だった。
加えて、彼らには、今の教育ではどうする事も出来ない
幼稚さが染み付いている。
ライブドアの堀江容疑者にもこの点は共通している。

政治家から嘘と幼稚さを奪い取らない限り、
この国の将来は無い。